本田さんは、オレのしょうもない冗談に終始笑顔だった。
しかし、オレはずっと違和感を感じていた。
いつもより、無理矢理笑おうとしてるような。そんな印象を受けたからだ。
「本田さん、彼氏とうまいこといってないみたいやで」
友達の言葉を思い出した。
学校の前で車を停車させる。
さすがに校門は開いてないので、校門の前にベタ停め。
「入ってみよか?」
人が通る通用門は鍵が閉まってないので、オレ達は車を降り、そこから学校の中へと入っていった。
「懐かしいな~」
「うん、そうやね~」
「以外と暗いな」
「確かに、ちょっと怖いかも」
恋愛マンガなら、ここでお化けでも出て彼女がオレに抱きついたりするんだろうが、そんなことは起こるはずもない。
オレ達は、校舎の前の人工池のところで立ち止まった。
「なんか、出そうやな~」
「・・・うん」
本田さんは、少し怖がっているようだ。
おい、幽霊よ。もし、いるなら出てきておくれよ!
普段は、幽霊なんて信じないのに、切実にお願いする。



