青春スパイ大作戦【短編集】


外人達は、慣れたもので、ブラの段階からどんどんチップをはさんでいく。

勿論、ブラも結局脱ぐので、その際、チップは床にバラバラになってしまうのだが、それはストリッパーが最後に拾って帰る。

オレは、たかが120円を貰って喜ぶ感覚がいまいちわからんし、チップなんかくれてやるかこの野郎。他の日本人なら10ドルとか挟んじゃうかもしんないけど、俺はそこらへんの、エロ日本人と一緒にすんなよ、こんちくしょう。
みたいな、気持ちがあったので、絶対チップだけは挟まないようにしようと思っていた。


ストリップの方はと言うと、いよいよ佳境に入り、パンティーに手がかけられるが、脱ぐフリして脱がないとか、しょーもない、アメリカ人が喜びそうなパントマイムが始まっていた。


オレは、そのアメリカナイズな見せ方にちょっと嫌気が差して、周りを見回した。

その時、ステージの最前列には、オレとクロスケ以外に、3人組のおっさん連中、2人組みのガタイの良い黒人(おそらく軍人)。そして、一番端に一人でストリップを眺める青年。
その青年を、仮にデビットと呼ぶ。

デビットは、オレ達がこの店に入った時から、ずっと最前列に座ってストリップを見ていた。
年の功なら、二十代前半くらい。
気のよさそうな好青年に見えた。
でも、そんなデビットが、一人でストリップって寂しい気もしたが、アメリカでは普通なのかもしれない。

そんな感じでデビットのことはあまり気にもとめてなかった。