彼の気持ちを知りたかった。
だけど怖くて口にすることすらできなかった。
この関係を壊したくなかった。

今はいい、このままで、彼が好きかどうかなんて、、、ただ一緒にいれさえすれば。
強がりではなく真剣に私はそう思った。
胸が痛かった。

寝言の多い彼、時に彼は夢の中でライブに立つ。
そして時に夢の中で私ではない女を抱いていた・・・。

今夜は誰を抱いているのだろう・・・。

私の隣で寝息を立てる彼、天井を見ながら彼のその手をそっと握った。

クラブではビッチな女たちが彼を囲む。彼の抱いた女はこの中に一体何人いるのだろう、今夜はどの子を選ぶのだろう?
女達はそれぞれ自分が一番だという顔をして、男の周りで笑顔を振りまいた。

すぐ寝る女。シリの軽い女。
何故女は男に抱かれるの?
SEXがしたいだけ?
もしかしたら、男に抱かれる女はみんな本気で心を奪われているからかもしれない。

しかし彼にとって、そんなの関係ないことでしかない。

もし明日自分が死んだら、私はそんなことを想像をした。

思い残すことなど何一つなかった。
だけどもし一つ言えるのだとしたら。
たった一度だけでいい。
心から愛する人に耳元で〝愛してる〟とささやいて欲かった。
きっと私は最大の幸せを感じることができるだろう。
たった一つの真実になりたかった。

この関係がいつまで続くのか、それは二人にすらわからない。
何処にゴールが存在するのかも。
たった一言が怖くていえないなんて、男の気持ちが何一つわからないなんて・・・。
本当の愛がどんなものなのか私は知らない。
私はとんだ頼りのない夜の蝶だった。