恭子の両親は共働きで昼間両親はいない。私たちは恭子のうちの洗面所を美容室代わりにすることにした。

私の首にケープを掛け、恭子と幸が手袋をはめた。なんだか手術を受ける患者になったみたいで少し緊張した。冷たいカラーリング剤が少しづつ私の髪を包んで言った。数十分後に髪を洗い恭子の部屋でブローをした。

「似合ってんじゃん!その髪色!」
幸がそう言って手鏡を私の前に手渡した。
自分じゃないように感じる・・・。
私は眼鏡をかけようとした。
「眼鏡はもうだめ!」
恭子が眼鏡を没収。
「メイクしてみようよ。服もさぁ、なんか恭子のいい感じの着せてみよう。」
幸がそう提案する。恭子はOKと言ってそれにのった。

恭子と幸の手ほどきを受け私はメイクをし、そして服を着替えた。
「見違えた!超可愛い恵!!」
幸がそう叫んで笑った。
「ヤバイねwwちょっと。あたし行くとこもう決めたわ。」
今度は恭子が大きな声を上げた。
「何処?」
「クラブだよ!!今日はみんなでレッツパーティーピーポー!!」


〝ちょっとまって〟なんてたじろぐ私の言葉を二人が聞くわけもなく私たちはその夜渋谷のクラブに出向いた。もちろん私はクラブなんて初めてで・・・。だけど恭子と幸はいつものこと、という感じで・・・私はなるべく二人と同じ行動をするように心がけた。
フロアーといわれる場所で、踊ってはじけて、三人でいる時間は凄く楽しかった。重低音が体に響く。このどきどきする感じがたまらないと感じた。

歌を歌うMCが抜け、ステージのブースで一人のDJがHIPHOPやR&B系の曲を回していた。
凄くハイになる曲、鳥肌が立ちそうなくらいカッコいい曲をそのDJはスピットした。私は見とれた。彼のその始めて見る繊細な動きに。