華月は強烈な輝きを発し、視線を一身に集め、見るものを魅力した。
人を強烈に惹きつけ、惑わせ、狂わせる。
どうしてこの世にこんなにも美しい女がいるのだろうと誰もがため息を零した。
ある者はあがめ崇拝し、ある者は貢ぎ、ある者は恐れた。
世間はカリスマと騒ぐが、カリスマ性があるの一言では表現できない何かが華月にはあった。だがその横顔はどこか深い影があり、寂しげで・・・。
まるで俺が華月に始めて出会った朝のように・・・。
光と影を両方とも持ち合わせた月のだった。
不思議とその美しい笑顔の真相に本当の幸せを感じさることはない。
それが彼女の魅力の一つとでも言うべきなのだろうか・・・。

俺は彼女の全てが知りたかった・・・。

彼女は決して一箇所の店にとどまることはなかった。
彼女は自分の店を持とうとしない。
まるで、ひらひらと舞うつかみどころのない月夜の蝶のようだった。

華月が舞い降りた店は、他のホステスの働く意欲をなくす。
だがホステス達が辞めずに留まるのは、いつか華月が消えることを知っているからだ。
そこの店が潰れないで済むのも、華月に依存することなく、幸運が舞い降りたぐらいにしか、思わないからだろう。
華月はそのことを知ってか知らぬか、ただの社会不適合者か・・・。

どっちでもいい、彼女が俺の隣で微笑んでくれれば。
何度か店に通い、彼女の横顔に見とれた。
彼女の心が動くことがないことは知っている。
そのやさしさが演技でもいい。
グラスの氷が解けるまで彼女は俺の恋人だった。

女に不自由した事がなかったこの数年間。
ふと思い返すと俺自信の意思で掴み取った恋愛など一つも存在しなかった。