フッと鼻で笑った志音はどこか遠くを見つめて言った。
「俺だって、大切な奴が居なかったらこんな所には来なかったよー…。」
そう言った志音の顔はかなり大人びていて。幼さの欠片もなかったー…。
「大切な奴?」
「ああ。そいつには、俺が可笑しいって事気づかれたくねぇんだよ。」
「大切にしてんのな。」
そう言った俺の頭には璃玖の姿が写し出されていた。
「心配かけたくねぇんだ。だから、バレないように精神科に通ったんだよ。」
「志音に可笑しい所なんてないと思うんだけどな。」
と冗談混じりに言った。
すると返っていた言葉は冗談なんかじゃなく、衝撃的なモノで。
くだらない冗談を言った自分を呪いたくなった。

