「これは、志音と最後に会った日に預かったのーー…。」
と言って、封筒をクルッと裏返しにする。
封筒の下の右端には小さく
―由莉へ―
と書いてあったーー…
それを見てブワッと突然溢れ出した涙は次々と頬を垂れる。
「~~っ…!!」
きっと止まる事を知らない涙が溢れでるのは、『由莉へ』と書いてある字がお兄ちゃんの字だったからー…っ
お兄ちゃんの字は癖があるけど、とても綺麗で。
お兄ちゃんが綺麗な字で私の名前を書いたんだと思ったら嬉しくて、でもとてつもなく虚しかった…。
「まさかこれを受け取った時が、最後になるとは思わなかったー…」
「…。」
「初めて逢ったのがー…」
と言って話始めた璃玖さんを、見る事も出来なかったーー…
私はただ流れる涙を拭う事なく俯いたまま静かに耳を傾けた。

