芯さんのいう黒い世界。
それは本当に芯さんに染まって欲しくない色で、芯さんが望まないなら――…
……―私と夜琉で芯さんに灯りを当て続けよう。
きっと私たち二人ならできるはずだから。
閉じていた目を開けて、車を降りた。
さよなら
は、言わないから―…
「私は幸せになります。夜琉と二人で、絶対に。」
「―ッ!」
「次は私の結婚式で会いましょう。」
そう言ってドアを閉めた。
返事なんて聞かなくていいから。返ってくるか分からない返事なんて聞く必要がないから――…
ただ、次逢う約束、を。
遅くてもきっとあと5年もすれば結婚式で会えるはず――…。
そう思ってクルリと背を向けてマンションに戻った。

