=キング of ビースト=3



芯さんのいう黒い世界。


それは本当に芯さんに染まって欲しくない色で、芯さんが望まないなら――…



……―私と夜琉で芯さんに灯りを当て続けよう。

きっと私たち二人ならできるはずだから。


閉じていた目を開けて、車を降りた。

さよなら

は、言わないから―…



「私は幸せになります。夜琉と二人で、絶対に。」


「―ッ!」


「次は私の結婚式で会いましょう。」


そう言ってドアを閉めた。
返事なんて聞かなくていいから。返ってくるか分からない返事なんて聞く必要がないから――…


ただ、次逢う約束、を。


遅くてもきっとあと5年もすれば結婚式で会えるはず――…。



そう思ってクルリと背を向けてマンションに戻った。