この人は、



この人は本当に、…―強い人。

「そう、ですね。」


私の返事を聞いたらすぐに足をかえし、病室を出た。それに続く私を見ると歩き出した。


若頭、か―………


なんとなく、私に対して敬語を使うのか分かってしまった。


ずっと不思議だった。年下の私に何で敬語を使うのか―――……。


……―きっと、一線を引いていたのだろう。仲良くなりすぎないように、情がうつり、うつされぬように。


…―必ず別れがくるから。


その時に自分が苦しまないように、相手に苦しませないように。勿論芯さんの場合後者だろいが。


数歩前を歩く芯さんを見ていると、涙が零れそうだった。