「辛くて辛くて、どうしていいかわからなくて。……―ごめんなさい。でも、どうしてもダメ。





……―夜琉だけは、夜琉は譲れない。」


「…―っ」


「本当に、ごめんなさい。」


「ち、違うの―…。本当は分かってた。私があなた達の間に入る隙なんてないこと。けど、悔しかった。二人は凄くお似合いで、自分は絶対に貴女には叶わないって分かってたから。」


「…。」


「……―ごめんなさい、突き落としたりして。謝ってすむ事じゃないのは分かってる。だから、これから自分のした過ちを償っていけるように――――『パァン』―――ぇ?」


女が喋っているときに、由莉は手を振りかざして――渇いた音がした。

女は無意識に叩かれた頬に手をおいて、由莉を見た。


「ふふっ、これでお互い様だね。」


「ぇ?」


「先輩が私を突き落としたのと、私が先輩を叩いた事。お互い様だから――…


…―もう忘れて下さい。」


小さく由莉は笑った。