――――――――



夜琉が倉庫に戻ってきて、さらにピリピリした空気になった。



芯の運転する高級車で倉庫に戻った夜琉は広間にいる面子に視線を向けることなく、静かに二階に上がった。


幹部部屋を開けると、そこにはすでに狼那連合のトップがすでにそろっていた。


重苦しい雰囲気のなか最初に口を開いたのは


「よぉ…夜琉。久しぶりだな。」


弘樹だった。


母親の為に学校を辞め、鳶職の仕事を始めた弘樹は見ないうちに肌が黒くなっていて、仕事をしっかりこなしている事が手にとるように分かった。


倉庫に顔を全く出さなくなってしまったが、引退式をするまでは那龍の一員。


緊急とあれば、駆けつける訳で。


「全く会わない間に夜琉はまた遠くなった………。」


小さく呟いた弘樹に夜琉以外が不思議に思う。


「…どうして夜琉はそんなに愛深いんだろうな。


俺とお前は似てると思ってたんだ。愛される事を知らず、愛する事が出来ない人間だと思ってた。」


静かに語りだした弘樹に皆が耳を傾ける。


「でも違った。似てると思ってたからこそ、夜琉がさらに遠くなった………。


俺はお前みたいにそんなに愛情深くないよ。」


と諦めたように言った。

夜琉の事を愛情深いと言った弘樹は夜琉をよく見ていて。


夜琉が由莉に捧げる愛は純粋で汚れを知らない程、透明で深い………綺麗な心。