そんな自分が一番嫌いだーー…ッ!!
頭だけは無駄に大人になっていく俺は、無駄に冷静。
こんな時にでも、
‘今この事実を言うべきじゃない’
と頭で判断できるんだから。
取り乱して、人に当たって、物に当たって、泣いて叫んで。
そんな事ができたら、どれだけ楽なのだろうーーー……。
そう思いゆっくりと目を閉じた。
すると、
「芯さん?」
不安気な声が聞こえて、
「ごめん、なんでもないよ。今言った事は忘れて下さい。」
と言った。
敬語に戻した俺は由莉さんと一線を引いているから。
由莉さんがこれ以上俺の領域に入って来ないように。俺がこれ以上由莉さんの領域に入らないように。
真実を打ち明けた時、情が移らないようにーーー…。
思わず漏れそうになった笑みを隠しながら、
「夜琉、話がある。」
ここにきて初めて夜琉に話かける。
すると椅子から腰をあげ、
「由莉ちょっと待ってろ。」
と告げると俺と病室を出た。

