=キング of ビースト=3









そんな自分が一番嫌いだーー…ッ!!








頭だけは無駄に大人になっていく俺は、無駄に冷静。


こんな時にでも、


‘今この事実を言うべきじゃない’


と頭で判断できるんだから。


取り乱して、人に当たって、物に当たって、泣いて叫んで。


そんな事ができたら、どれだけ楽なのだろうーーー……。


そう思いゆっくりと目を閉じた。

すると、


「芯さん?」


不安気な声が聞こえて、


「ごめん、なんでもないよ。今言った事は忘れて下さい。」


と言った。
敬語に戻した俺は由莉さんと一線を引いているから。
由莉さんがこれ以上俺の領域に入って来ないように。俺がこれ以上由莉さんの領域に入らないように。


真実を打ち明けた時、情が移らないようにーーー…。


思わず漏れそうになった笑みを隠しながら、


「夜琉、話がある。」


ここにきて初めて夜琉に話かける。


すると椅子から腰をあげ、


「由莉ちょっと待ってろ。」


と告げると俺と病室を出た。