=キング of ビースト=3




「……。」


ドアを開けた先に見える光景は、綺麗で暖かいーー…

ベットに体を起こして少し笑っている由莉さんに、パイプ椅子に腰をおろし、由莉さんの頬に手を当てている夜琉。


こうやって見ていれば、本当に仲のいいカップル。

理想のまた上をいくほどの眩しい二人。


なのに、背負っているモノは深い深い闇ー…


そんな闇を背負っているにも関わらず、真っ直ぐで暖かい心を持ち、人を和ませるような笑顔。


その笑顔で柔らかく

「芯、さん。」

微笑んだ。


「ーー…いつもすいません。でも、本当に感謝してます。夜琉も私も芯さんにはいつも助けてもらって、ありがとうございます。」


どこまでも、自分より他人。


「……ー実はそうでもないんだよね。」


「…ーぇ?」


この二人が事実を知ったら、どうするのだろうか?


志音が死ぬ原因になった冷豹を作ったのが俺だと知ったら、どうするのだろうか?


俺は偽善者なんて可愛いモノじゃない、もはやただの騙し人。