「……。」
ドアを開けた先に見える光景は、綺麗で暖かいーー…
ベットに体を起こして少し笑っている由莉さんに、パイプ椅子に腰をおろし、由莉さんの頬に手を当てている夜琉。
こうやって見ていれば、本当に仲のいいカップル。
理想のまた上をいくほどの眩しい二人。
なのに、背負っているモノは深い深い闇ー…
そんな闇を背負っているにも関わらず、真っ直ぐで暖かい心を持ち、人を和ませるような笑顔。
その笑顔で柔らかく
「芯、さん。」
微笑んだ。
「ーー…いつもすいません。でも、本当に感謝してます。夜琉も私も芯さんにはいつも助けてもらって、ありがとうございます。」
どこまでも、自分より他人。
「……ー実はそうでもないんだよね。」
「…ーぇ?」
この二人が事実を知ったら、どうするのだろうか?
志音が死ぬ原因になった冷豹を作ったのが俺だと知ったら、どうするのだろうか?
俺は偽善者なんて可愛いモノじゃない、もはやただの騙し人。

