医者が言ってきた事は予想だにしない事で。
由莉さんがここまで重傷だったのだと思い知らされた。
本当にーー…心が、痛いッ…!!
「もう、指の手当はしてあるので、家で絶対安静にできるのであれば明日退院しても大丈夫ですよ。」
こいつがいう事なんて、信じたくない。理解したくない。
指が元のようには動かせないかもしれないなんてーーー…
けど俺も馬鹿じゃないから、本当は分かってるーー…。
事実は受け止めなければならないって。
「夜琉と、……相談してきます。」
退院もだけど、夜琉はこの事実を受け止められるだろうかー…?
医者のもとを去り、由莉さんの病室に向かう。
病院の消毒液の匂いが、嫌でも由莉さんの怪我を思い出させる。
「…。」
病室の前につくと、ゆっくりノックをした。
中から本当に小さく
「はぃ。」
と聞こえ、由莉さんが目を覚ました事を知ると同時にドアを開けた。

