=キング of ビースト=3




医者が言ってきた事は予想だにしない事で。
由莉さんがここまで重傷だったのだと思い知らされた。


本当にーー…心が、痛いッ…!!

「もう、指の手当はしてあるので、家で絶対安静にできるのであれば明日退院しても大丈夫ですよ。」


こいつがいう事なんて、信じたくない。理解したくない。

指が元のようには動かせないかもしれないなんてーーー…





けど俺も馬鹿じゃないから、本当は分かってるーー…。


事実は受け止めなければならないって。


「夜琉と、……相談してきます。」


退院もだけど、夜琉はこの事実を受け止められるだろうかー…?


医者のもとを去り、由莉さんの病室に向かう。


病院の消毒液の匂いが、嫌でも由莉さんの怪我を思い出させる。


「…。」


病室の前につくと、ゆっくりノックをした。


中から本当に小さく

「はぃ。」

と聞こえ、由莉さんが目を覚ました事を知ると同時にドアを開けた。