夜琉が伸ばした手は由莉さんの頬に触れて
「…―。」
優しすぎる触り方は本当に本当に大事な壊れモノに触れるかのようで。
「…ょ、る…?」
それに答えるかのようにうっすらと目を開けた由莉さんは掠れた声で愛しい人の名を呼ぶ。
「―…ぁあ。」
と答えた夜琉は由莉さんが今、目が覚めることを知っていたかのように、何事もなかったかのように自然と返事をしていた。
「ねぇ、ありがとう。」
「ん?」
「――…側にいてくれてありがとう。」
「当たり前だ。……悪かったな、きっと俺か那龍絡みだ。」
そう苦しそうに言った夜琉は自分か那龍絡みの事で由莉さんを傷付けてしまった事を悔いていた。
巻き込みたくない大切な人を巻き込んでしまった哀しみは深い。
でも……………
「許してあげる。
………―けど傷モノになった責任とって、一生私を引き取ってよ…ッ…。」
「―…ッ!!」
由莉さんの方が何倍も上手で、
「返事言ってくれないの?」
なん十倍も優しい…。

