「親族ではないですが、由莉さんの身を預かっている者です。」
俺がそう答えると
「こちらに。」
と案内をされ、入った部屋にはカルテを持った看護師もいて、医者と少し会話を交わすと出ていった。
医者の後をついてきた俺の後ろに夜琉は居なかった。
だから夜琉はきっと由莉さんの病室にいったのだろう…
………遣り切れない想いで。
1人由莉さんの病室に行った夜琉はドアノブに手を伸ばして――――止めた。
宙に止まったままの手は微かに震えていて
「~~っ~!!」
その手をそのまま額に持っていき小さく息を吐いた。
しばらくその体制で微動だにしなかったが、足元にあった視線をあげ、
‘―ガチャン’
静かにドアを開けた。
広い個室に寝かされていた由莉さんは純白で。
目を瞑っている顔は穏やかだった為、夜琉はベッドに歩み寄った。
「……ゅ、うり。」
小さく呟いた声は由莉さんが深い眠りについた時を思い出していて、――…震えていた。
いつ目を覚ますのか分からない恐怖。
夜琉の精神状態を壊すのには十分すぎるぐらいの出来事だった訳で。
声が震えるのは必然的だった。

