それに健司さんは資産家。
長谷組の頭は健司さんのお父さん…つまり夜琉の祖父に当たる人だ。
だが頭はまだまだ若く、頭が18の時に健司さんが、健司さんが16の時に夜琉が―…二人にとっての最愛の人が産んでくれたのだ。
まだまだ十分若く頭を張ることができる夜琉の祖父。
だが、いずれは俺が継がなきゃならない。
組を率いるようになるまでは、夜琉の成長を見たいと強く願う―……。
だから、
「――…夜琉。」
お願いだから、
「…………これだけは、忘れないでくれ―――…。」
「…。」
そんなに冷たい目をしないで欲しい…。
「――…由莉さんだけじゃない、お前を支えに生きている人間は他にもいるんだ。」
お願いだから、死ぬことに恐れを感じてくれッ!!
死を恐れていない瞳ほど、怖いモノはないから。
「――由莉さんだけを生きる意味にするな。」
そう夜琉の瞳をまっすぐ見つめながら言った。
ちょうどその時‘検査中’と写っていたランプが消えた。

