夜琉はすでに検査室に着いていて、開かない‘検査中’と書かれた扉の横の壁になんかかっていた。
目を瞑り下を向いている横顔にかかる漆黒の黒。
それはまるで夜琉が闇に飲み込まれていくようだった。
夜琉は本当に闇と光の狭間にいるのだろうと思う。
闇に飲み込まれそうで飲み込まれない。
でも下手をすると簡単に飲み込まれてしまう…。
闇に飲み込まれそうな夜琉を引き留めているのは………由莉さんの存在。
由莉さんがこの世から…………
と思うと由莉さんを支えに生きている人はどうなる?
考えてはいけない事だと分かっている、だけど今回の事で考えずにはいられなかった。
だから許せなかった…ッ
那龍が見つけられなかったら、俺がヤる。
だからさっき連絡を入れたのだ。組の奴に―……。
さっきの電話の相手は俺の右腕で、陽斗‐ハルト‐。
そして俺は長谷組の若頭…。
長谷夜琉。
だけど長谷組の頭は夜琉の親、健司さんがしている訳ではない。
確かに俺は健司さんに助けられ、大きな借と感謝、尊敬の気持ちから夜琉の運転手をしているが、本職は若頭。

