神様は、これ以上―………
…―由莉さんに何を望んでいるのだろうか……?
そう思わずにはいられない―…。
(有志さんと莉菜さんに合わせる顔がない―…。)
しっかりと二人にも由莉さんをたくされたのに。
俺は有志さんに恩を仇で返すことしかしていない―…。
由莉さんが傷つけば必然的に夜琉もまた自分を失うわけで。
俺の少し前を歩く夜琉に目を向ける。
後ろから見ても人並み異常に威圧的でカリスマ性が溢れでてくるようなオーラ。
それに由莉さんと出会ってからは優しさも含まれていたのに…ッ…
今は威圧的な雰囲気と人を決して寄せ付けない冷酷なオーラだけ。
それをみて無性に悲しくなった。それと同時に犯人対する怒りも溢れてきて。
「夜琉、わりぃ。ちょっと先行っとけ。すぐ追いかける。」
俺がそう言っても反応が返って来ることはなかった。
でも夜琉は俺の話は必ず聞いていると知っているから、俺はすぐ横にあったドアを開け外に出た。
電話をかけようと携帯を握り、短いコールの後
『はい、どうかされましたか?』
と相手は電話に出た。

