確かにこの女だったんだ。
由莉ちゃんを侮辱したのは。
南月だって何も言ってない女にあそこまでする事はない。
俺は立ち上がり、下に倒れている女に目を止めることなく俺たちを囲んでいる女たちを見て
「由莉ちゃんを侮辱しただけでこんなになってるのに、階段から那妃を突き落とした奴はどうなるんだろうね―…。」
と言った。
犯人を追い詰めるために言った言葉。
今の事が噂で回れば絶対犯人は明日学校に来ないはす。
本当に、
……―明日が楽しみだよ。
そう思ってしまえばほんの少し上がる口角。
それを俺は抑えることなく亮の方を向いた。
「本当に亮は機転が利くよ。ありがとう。」
「いや、別に。それより由莉の容態は?」
「一応無事らしいけど詳しいことはまだなんだ。今弘樹が確認しにいってる。」
「……―そっか。」
「亮は犯人見なかったの?」
「俺は由莉の親友、千佳の叫び声で由莉の元に行ったんだ。だから犯人は見てない。
でも、千佳は見たって言ってた。」
そう亮が教えてくれた。
目撃者がいるなら、休みが多くても大丈夫だ。
その子に顔写真を見せて、確認を取ればいい。

