そう、あの那妃なんだから。
あの百獣の王が―……
狼那連合同盟が愛してやまない
たった一人の―………。
……―華麗で知的な那妃なんだから。
俺がそう言った途端、俺たちを囲んでいた女たちはザワザワとうるさくなった。
俺たちがいるのにペラペラと由莉ちゃんの事を話し出す女たちはバカとしか言いようがない。
「えッ金堂さんが那妃!?」
「今日突き落とされてたよね。」
「だから狼那連合が動いてるんだ!!」
「それってやばくない?」
「でも金堂さんだったらなんか納得だよね。」
「あ―分かる。かなわないわ。」
そんな声が聞こえてくる。
でも―――…
「でもさぁー可愛からって調子乗ってたからざまーみろって感じじゃない?」
と、どこからか聞こえてきた刹那
「女だからって何言っても許されるなんて思うなよ。」
南月がドスの聞いた低い声を出していた。
この場は一瞬で静まり返り、凍りついた。
「那妃を侮辱するって事は狼那連合同盟を侮辱してるって事と同じだ…。それがどういう事かわかってんのか?」
本当にバカな女たち…。
俺たちの前で由莉ちゃんを侮辱するなんて自殺行為だよ。
関東地区全体を敵にまわすって事だよ?

