そこにかなり良いタイミングで現れた―…
「華月に来るなら連絡しろよッ」
…―亮。
女たちをかき分け現れた亮は南月の姿も見つけると
「南月…お疲れ。」
女に囲まれている状況をみてあえてこの言葉を選んだのだろう。
「チッ」
早くここを出ないと本格的に南月がキレ出しそうだ。
まぁ亮が来たことで早く済みそうだ。
「犯人見つけた?」
「まだなんだよね…由莉ちゃんを突き落とすとか本当あり得ない。」
と言った俺に、亮の方が一瞬あり得ないって顔をした。
でもすぐにハッとなるところを見れば、亮も俺の作戦に気づいたのだろう。
まだ噂を広める事について知らない亮だが、この状況と俺がこんなに多くの女子生徒の前で由莉ちゃんの名前を出した事で瞬時に理解する亮。
そして
「夜琉さん怒り狂ってそいつのこと探してるんだろ。」
何も言わずにちゃんと上手く協力してくれるのは本当に流石としか言いようがない。
「夜琉だけじゃなくて狼那連合同盟全員が、だよ。」
「ぁあ、だから南月がいるんだな。」
本当に―――……
「南月だけにした俺を偉いと思ってよ。本当は狼那連合全員が‘華月に乗り込む’って躍起になってたのに。」
「わお、由莉愛されてんだな。」
上手く話を合わせてくれるから、やり易いったらありゃしないよ。
「ああ――――…
……―――だって由莉ちゃんあの那妃だよ?」

