むしろそっちの方がやり易いのだが。
中途半端に噂が流れるより、完全に噂が流れた方が由莉ちゃんを堂々と守れるから。
そんな風に思っていると
「あ、あのッ////」
と話しかけてきた群をなした女たち。
俺たちから話しかける必要すらない事に若干萎えるが、
「ん?」
と柔らかめの口調で返す。
するとあからさまに顔を赤らめ‘キャー’と言って騒ぎたてる。
(萎える…。)
そう思ったときにはすでに横から小さな舌打ちが聞こえた。
舌打ちしたくなる気持ちも十分分かるが今は我慢してほしいと思い口を開きかけたとき
「わかってるんですけどね。」
と南月が言った。俺が言わんとしている事は分かっている、と言った南月はこの状況がかなり嫌なのだろう。
増えてくる下校中の生徒たちに比例して俺たちを囲む女子生徒は増えて、今となっては完全に周囲を囲まれてしまった。
「えっと…何で那龍の璃玖さんと狼羽の南月さんが此処にいるんですか?//」
明らかにぶりッ子したような口調に引きながらも俺たちが華月にきた本来の目的を果たす。
「狼那連合同盟が探してる人がいてさ、その人が華月の女子生徒3年って事だけしか情報なくて…」
と俺が困ったように言えば
「「「私3年!!!!!!!!」」」
何人ものバカな女が期待の籠った瞳を向け必死に訴えてくる。
「いや…そんな良い意味で探してるわけじゃないから。」
と少し控えめな態度で言った俺に
「「「えっ!?」」」
と声をあげる女たち。

