=キング of ビースト=3




長いコールの後、


『…』


電話は繋がったが、反応はなかった。


「夜琉、ごめん。一時間じゃ無理だ。犯人は夜琉とも由莉ちゃんとも全く接点なくて、接触もしてないんだ。」


『…。』


「…だから、情報が全く上がらない。」


『…チッ。』


「だから、エサをかけて引っ掛かるのを待とうと思って。明日の昼には分かると思う。」


『…』


「それしか案がないんだ。でも徹底的に叩きのめすから。」


『…ぁあ。』


「由莉ちゃんをよろしく。犯人は必ず突き止めるから、あんま無理しないでくれ…由莉ちゃんが哀しむ。」


『…。』


「じゃあまたなんかあったら連絡する。」


俺がそう言った途端電話はすぐにきれていた。



夜琉、大丈夫か………?


夜琉が予想以上におとなしすぎて逆に怖い。


まるで嵐の前の静けさだ、な。



小さく息を吐いた俺を見ていた直也が


「夜琉さんは…?」


と夜琉を気にしていた。


「どうだろう?今は大丈夫だと思うけどおとなし過ぎて…ね。」


「…。」


「まぁ…今は今する事を確実にこなそう。」


俺は一瞬不安げな表情をしたみんなを見て、心を落ち着かせ指示を出した。