「指の事に関しては俺らじゃ何にもできん。だったら俺らは何をする?ただ自分を責めるんか?違うんちゃうか?」
「犯人を一刻も早く見つけましょう。璃玖さん、何か案が浮かんだのでは?」
南月の渇に秋がいち早く反応した。
「ぁあ。事実を噂として流すよ。」
「…?」
「つまり簡単に言うと‘那妃の由莉をケガさせた犯人を狼那連合全員が躍起になって探してる、見つかり次第追放。’ってね。」
「それを自ら那龍は噂として流すんですか?」
「うん。もう由莉ちゃんが那妃って噂は周り始めてる頃だろうし。ならあえてこう噂を流したら犯人はどうすると思う?」
「学校休んで家にこもる、な。」
「ピンポーン、直也正解!!」
俺はそう言って笑った後も話を続けた。
「学校を休んだって事だけでかなり人数が絞られる。それに加えて華月3年の女という情報があるし…。」
「成る程な、でもその噂が流れた後由莉が今まで以上に危ない目に遭うんだぞ?」
忠告するような口調でいう弘樹は俺に‘二度とヘマはしないよな’と目で訴えていた。
「でももう噂の火種は周り始めてるんだよ。俺たち三人が華月に行った時点で。黒峰の教室でも夜琉が‘華月に行く’って叫んでるし、今日華月であった事件を考えればバカでも那妃が由莉ちゃんって事ぐらい分かる。」
「…。」
「それを利用するしか方法はないだろ?」
多少のデメリットはでてくるけど、それは仕方がない。
この方法以外犯人を見つけるのは難しそうだしね。
犯人が見つけるのは明日になってしまうけど、そこは諦めるしかない。

