=キング of ビースト=3





弘樹と紅雨に指示をだし、二人はすぐに動きだす。


俺はさっきから止まる事なく鳴り続ける3つの携帯を開いた。


するとその時、


『コンコン』


とドアがノックされ、落ち着いた声で‘どうぞ’と言った。

そこに現れたのは弘樹が言っていた狼那連合の総長たちがいた。


南月、直也、秋


三人は挨拶することも座る事もなく、当たり前のように本題に入る。

それほど、時間に余裕がないのだ。



「姫さんの容態は?」


「ごめん南月、まだ分かってないんだ。今弘樹が確認してる。」


「犯人の特定は出来そうですか?」


眉をひそめ秋は聞いてくるが

「正直難しい。夜琉とも由莉ちゃんとも全く接触した事がない人物みたいなんだ。」


分かっている事はひとつもない。正直お手上げ状態だった。


「二人に全く接触していないってことは完全な逆恨み、だな。」


直也が1人ごとのように呟いた。


みんなが深く考え込み始めたとき、


「あ…」


ある事に俺は気づいた。



「…どうしました璃玖さん?」

そう秋が遠くで呟いたような気がしたが、それに答える余裕はなく、俺はプライベート用の携帯を開いた。


‘ら’の行までいくと急いで押したボタン。


まだ一番ガキを握っている亮に話を聞いていなかった…ッ。