弘樹と紅雨に指示をだし、二人はすぐに動きだす。
俺はさっきから止まる事なく鳴り続ける3つの携帯を開いた。
するとその時、
『コンコン』
とドアがノックされ、落ち着いた声で‘どうぞ’と言った。
そこに現れたのは弘樹が言っていた狼那連合の総長たちがいた。
南月、直也、秋
三人は挨拶することも座る事もなく、当たり前のように本題に入る。
それほど、時間に余裕がないのだ。
「姫さんの容態は?」
「ごめん南月、まだ分かってないんだ。今弘樹が確認してる。」
「犯人の特定は出来そうですか?」
眉をひそめ秋は聞いてくるが
「正直難しい。夜琉とも由莉ちゃんとも全く接触した事がない人物みたいなんだ。」
分かっている事はひとつもない。正直お手上げ状態だった。
「二人に全く接触していないってことは完全な逆恨み、だな。」
直也が1人ごとのように呟いた。
みんなが深く考え込み始めたとき、
「あ…」
ある事に俺は気づいた。
「…どうしました璃玖さん?」
そう秋が遠くで呟いたような気がしたが、それに答える余裕はなく、俺はプライベート用の携帯を開いた。
‘ら’の行までいくと急いで押したボタン。
まだ一番ガキを握っている亮に話を聞いていなかった…ッ。

