由莉が運ばれたあと、キレだした紅雨。
「どうするんだよ!!」
「何でゆうゆうがあんなケガしてんだよッ!!」
紅雨にとっても由莉はとても大切で、大事な人で、
「どうしたの、じゃねーよ!!何でゆうゆうが救急車で運ばれてんだよ!!ふざけんなよッ。」
紅雨の強い由莉に対する想いは暴走しまくって、気持ちが抑えきれなくて、涙が溢れそうだったのだ。
それでも夜琉に
「紅雨黙れ。」
と言われると黙ってしまうのは、夜琉の方が辛いと知っているから―――…。
由莉の助けになれない自分に泣きそうになりながら、口を閉ざした。
夜琉は淡々とした口調で
「璃玖、帰る。」
と言うと足を返した。だがそれを引き留めて声をかけた璃玖は
「夜琉、わかりそうだ。」
と言った。この時犯人の特定はすぐ分かると思っていた璃玖。
「わかったら、俺の前に連れて来い。」
だが、予想外になかなか見つからなかった――…。
――――……
璃玖は携帯を4つ持っていて、一つはプライベート用、二つ目は那龍用、三つ目は狼那連合用、4つ目は緊急時連絡用の携帯。
今回はプライベート用以外の携帯全てを使ったのだ。
普段使う携帯は那龍用と狼那連合用だけ。緊急時連絡用の携帯を使う事はまずないのだ。
だから今回の事件は異例中の異例といえるだろう。
緊急時連絡用の携帯を使う時は副総長の判断に任せられるのだが、今回璃玖はそれを使った。
璃玖も本当に許せなかったのだ。一番落ちて冷静に対処していたが、実は表にだざないだけで心の中は怒りで溢れていた。
それを証拠に嫌みったらしい言い方で華月の先生にイライラをぶつけていた。
璃玖の言っている事は的確で、正しい事なのだが、棘のある言い方は璃玖らしくはなかった――…。

