「ちッ」
っと小さく舌打ちをした夜琉はタバコを手にとって火をつけていた。
おもむろに開いた口は冷たく、冷淡だった。
「階段から落ちて病院に運ばれるらしい。」
「「はっ!?」」
「ぇ!階段から落ちて病院!?普通落ちたぐらいじゃ病院に―‥‥」
と紅雨は言葉を並べるが、何かに気づいたようで口を閉ざした。
「信じらんない…誰がッ…!!!」
と言った紅雨の声は苦痛と憎しみに満ちていた。
璃玖は何もしゃべらず、ただひたすら考え事をしていた。
華月に着くまでの数分、重い雰囲気に支配された車内で話声は全くしなかった。
正門に止められた車を出た三人は校庭を走って横切っていて。
幸運な事に残暑がまだまだ残る9月は授業中どのクラスもカーテンで日光を遮っていて、三人の姿を見る生徒は居なかった。
正面玄関の近くの階段に着いた時、由莉は横たわっていて、側には亮が立っていた。

