ハッとして
「―――――由莉ッ!!」
そう叫んだ時にはもう由莉の体は落ちていって、
「由莉ッ!!」
手を差し伸べたときには遅くて、私が居たのに、由莉を守るとあの時決めたのに…私は何一つ守れてないッ…!!
階段を落ちていく由莉なんて見たくなにのに、私の目の前で落ちていく。
そのまま一階まで止まることなく落ちていった由莉を見て、助けてあげないといけないのに足が地面に張り付いて動かない。
全く動かない由莉。
「ぃ、嫌…やだやだやだ…いやぁぁあッ」
怖い怖い怖い、
由莉を失ないたくないのに。
“由莉も志音さんのように居なくなるかもしれないッ”
そう思ったら頭が可笑しくなって、涙が出てきて、立っていることも出来なくて。
「やだやだやだやだやだ」
それしか言う事ができなくて。
「千佳!?!?」
私の叫び声が聞こえたのだろうか?急いだような必死な声が聞こえて、
「どうした?」
優しい声が聞こえた。
「亮…ぉ、お願い、由莉を助けてょ…」
「由莉?」
「し、た。」
「下?……ッ!?!?!?」
「助けて、ょ。」
「千佳、由莉は大丈夫だ。だから安心しろ。」
震える私の肩に優しく触れると凄い速さで階段を降りていった