「由莉ちゃん、夜琉とお遣いに行って来てくれない?」


事の発端は璃玖のこの一言から始まった。


「お遣い?」


「うん。ちょっと買ってきて欲しい物があるんだけど、今手が離せなくて。」


と言った璃玖は広斗さんと雅さんとずっと話し合っていて。
もう何日も姿を見せない弘樹の為の引退暴走の細かな調整をしているらしい。


「何買ってくればいいの?」


「それは、由莉ちゃんと夜琉の判断に任せるんだけど…。ほら、弘樹の引退式で渡すプレゼント買って来て欲しいんだよね。」


「えっ!?そんなの勝手に決められないよ。」


「大丈夫、由莉ちゃんの選んだ物だったら弘樹喜ぶし、総長の夜琉も弘樹の為にプレゼントを選んであげるべきだと思って。」


と言う璃玖は、私が何度無理だと言っても引き下がる事はなく結局私が折れた。


「分かった…。変なのになっても知らないから。」


「大丈夫、じゃあ任せるね。」

と言ってニコニコ笑った璃玖はまた広斗さん達と話し合いを始めた。