そう言ってふわっと笑った…笑えたんだ。
「ぇ?」
「今は無紅狼って名はないよ。那龍幹部、その名はあるけど。」
「うん?」
「俺が無紅狼って言われてた事は大した事じゃなかったんだ。」
「…。…どうして?」
「無紅狼は、俺にとって必要不可欠な存在だったから。」
「…。」
「無紅狼になったから、俺は璃玖や夜琉に出会えた。あの時、あの場所に居たのは無紅狼になって居たから。紅雨のままじゃあの公園には居なかったよ、きっと。」
「何で?」
「無紅狼はさ、居場所を求めて夜出歩いて居たんだ…。」
「そっかぁ。居場所を探していたから夜琉達に出会えたんだ。」
「そうだよ。もし紅雨のままあの場に居たとしても、紅雨は弱かったから暴走族になんて喧嘩売らないよ。」
「確かに。」
そう言って笑ったゆうゆうは温かかった。

