何で涙が出てきたのかなんて知らない。
でも心が限界だ、と言って居るような気がして。
声にならない叫びが、涙となって零れたのかもしれないー…。
ゆっくりと瞼を閉じる。
するとそこには見たことのない女性が写っていて、とても綺麗に微笑んだような気がした。
(雪ー…?)
誰だったかは分からないけど、俺の母親のような気がしたー…。
「じぁあ、俺と雅は倉庫に帰るわ。璃玖はどうする?」
「俺は…もう少しここにいます。」
「ああ、分かった。気ぃ付けろよ。」
「はい…。」
そう聞こえたのを最後にまた2つのバイクの音が遠ざかって行った。

