=キング of ビースト=3




俺はここ最近ずっと苛々していて。

でも俺だってバカじゃないから、こんなに沢山の爆音を相手にするのは無謀だと分かっていた。


バイクから下りて来た人達は明らかに暴走族。

でも何故か若干焦っている様子で、ベンチに寝転んでいる俺に気づく様子はない。



「また夜琉が行方不明だとよ、広斗。どうする?」


いきなり会話をし出した2人は多分偉い方の人。だって2人を取り囲むようにして並んでいる奴らは一言も喋らない。


「夜琉はとんだじゃじゃ馬だからなぁ。夜琉に何があったか知ってるか、雅?」


「いや、知らねぇ。でも多分家の事で揉めたんじゃねぇの?」

「あぁ。夜琉も大変だからなー…。」


「取り合えず探すだろ?」


「当たり前だろーが。あいつも那龍の一員だからな。」


は?那龍?

会話を盗み聞きしていた俺にとんでもない言葉が聞こえた。


関東一の狼那連合同盟の那龍?


…なんか俺ヤバくね?