俺はここ最近ずっと苛々していて。
でも俺だってバカじゃないから、こんなに沢山の爆音を相手にするのは無謀だと分かっていた。
バイクから下りて来た人達は明らかに暴走族。
でも何故か若干焦っている様子で、ベンチに寝転んでいる俺に気づく様子はない。
「また夜琉が行方不明だとよ、広斗。どうする?」
いきなり会話をし出した2人は多分偉い方の人。だって2人を取り囲むようにして並んでいる奴らは一言も喋らない。
「夜琉はとんだじゃじゃ馬だからなぁ。夜琉に何があったか知ってるか、雅?」
「いや、知らねぇ。でも多分家の事で揉めたんじゃねぇの?」
「あぁ。夜琉も大変だからなー…。」
「取り合えず探すだろ?」
「当たり前だろーが。あいつも那龍の一員だからな。」
は?那龍?
会話を盗み聞きしていた俺にとんでもない言葉が聞こえた。
関東一の狼那連合同盟の那龍?
…なんか俺ヤバくね?

