=キング of ビースト=3





雪‐ユキ‐ってのは俺の母親で。


俺の全く知らない人。
だって、俺を産んだ時に死んだからー…。


俺の為に命を落とした人だからーー…。


忘れてたくても絶対に忘れられない母親ー…。


俺が母親を殺したって事だから、俺は生を受けた瞬間から罪を犯していて。


忘れるなんて無理なのに、俺の名前は俺の罪を戒める為のモノーー…



だから、嫌いだったこの名前がー…


嫌いで嫌いで…憎かったー…。


「それから成長するにつれて、どんどん雪に似ていく俺に父さんはー…


たまに俺を見て泣きながら『雪っ』って言うんだー…。」


「…っ」


「っは…。耐えられなかったんだ、俺は。自分の罪に、自分の名前に、俺の父さんにー…。だから、中学に上がると同時に家に帰らなくなった。」


「…どうして?」


「向き合う勇気が俺にはなかったから…。」


あの時の俺は、本当にガキで。

ーーー…バカだった。