雪‐ユキ‐ってのは俺の母親で。
俺の全く知らない人。
だって、俺を産んだ時に死んだからー…。
俺の為に命を落とした人だからーー…。
忘れてたくても絶対に忘れられない母親ー…。
俺が母親を殺したって事だから、俺は生を受けた瞬間から罪を犯していて。
忘れるなんて無理なのに、俺の名前は俺の罪を戒める為のモノーー…
だから、嫌いだったこの名前がー…
嫌いで嫌いで…憎かったー…。
「それから成長するにつれて、どんどん雪に似ていく俺に父さんはー…
たまに俺を見て泣きながら『雪っ』って言うんだー…。」
「…っ」
「っは…。耐えられなかったんだ、俺は。自分の罪に、自分の名前に、俺の父さんにー…。だから、中学に上がると同時に家に帰らなくなった。」
「…どうして?」
「向き合う勇気が俺にはなかったから…。」
あの時の俺は、本当にガキで。
ーーー…バカだった。

