「紅雨のお陰で、親父と向き合えたんだー…。」
と言って笑った璃玖にイラッとして、
「何で俺のお陰とか言うの。」
冷たく聞き返していた。
ムカついたんだ。
俺が璃玖に何もしてあげられなかった事は分かっているし、別にそんな気休めな言葉を吐いて欲しくなかったー…っ!!
気を遣われているようで、自分が惨めな気がしたんだ!!
ただの俺の八つ当たりと分かっていたけど、抑えられなかった…っ!!
「紅雨。」
そう言った声は俺の感情の高ぶりを抑えるような威圧的だけど優しい声。
「俺は紅雨に本当に感謝してるから礼を言っただけ。紅雨が何を思ったのか知らないけどー…俺の気持ちも少し分かってよー……。」
「~~っ!!」
「俺は紅雨が俺の親父とちゃんと向き合えって何度も言ってくれていたから、向き合う意識を持っていたからーー…ちゃんと話し合えたんだよ。」
「…っ。」
「いきなりだったら、絶対にあの場から逃げ出していたはずだから…俺は紅雨に感謝しないといけないんだ。
ーー…ありがとう。」
「~~っ」
どうしていつも璃玖は、俺の欲しい言葉を言ってくれるんだろう…。

