「大切なんてもんじゃねぇんだ。大切なんて言葉で言い表せる想いじゃねぇんだ…。 …ーー由莉の為なら、俺の命ぐらい捨てる覚悟は出来てるんだ。」 フッと笑った志音。 その顔を見て心底羨ましいと思った。 そんだけ志音に愛される由莉に。 そんだけ由莉を愛する志音に。 …ーー勝てる気がしなかった。 そんなに強く想う事も、そんなに強く想われる事も、俺にはなかったからー…。 「これを渡して欲しいんだ。」 そう言って渡された白い封筒。 後ろには小さく ー由莉へー と書いてあった。