=キング of ビースト=3





「大切なんてもんじゃねぇんだ。大切なんて言葉で言い表せる想いじゃねぇんだ…。




…ーー由莉の為なら、俺の命ぐらい捨てる覚悟は出来てるんだ。」



フッと笑った志音。


その顔を見て心底羨ましいと思った。


そんだけ志音に愛される由莉に。
そんだけ由莉を愛する志音に。





…ーー勝てる気がしなかった。


そんなに強く想う事も、そんなに強く想われる事も、俺にはなかったからー…。



「これを渡して欲しいんだ。」

そう言って渡された白い封筒。
後ろには小さく
ー由莉へー
と書いてあった。