=キング of ビースト=3




たったちょっとの間、この待合室で話しただけの仲なのかもしれない。


けど、俺にとって志音はもう大切な存在で。


ずっと1人で頭を抱え、待合室で志音の帰りを待っていた。


昼過ぎだった時刻は刻々と進み、西日がまぶしい夕方になった。


病院も閉まる時間になっても志音は現れなくて、もう待って居るのも限界かと思った時



「大丈夫ですか?」


「…。」



と言う安否を気遣う看護師の声と共に志音は現れた。



「志音っ…!!」


走って駆け寄った俺を見て、口元にだけ笑みを作って


「まだ居たのかよ。」


と言った。

でも、その笑みは疲れきっていて。眩しさの欠片もない、冷たい笑みだった。