見ていられなかったー…。
「なんで俺がっ…助けてくれよ…!!
なんで俺がこんな未来を見ないといけないんだよ…っ!!」
発狂しだした志音は、いつもの落ち着いた大人の雰囲気なんてなくて。
普通の男子高校生なんかじゃなくて。
「頼む、から…死にたくない…っ!!…ハァハァ」
死に怯える精神病患者だった…。
綺麗な顔が歪んで、辛そうで、悲しそうで。
なにがこんなにも志音を苦しめているんだよっ!!
どうして志音は、1人で耐えているんだよ…。
ガタガタ震える志音は、完全にパニックに陥っていて。
看護師に呼ばれた医師が慌てた様子が現れて、志音を連れて奥に入っていった。
静かになった待合室では異様な雰囲気が漂っていて。
それでも俺は志音の事しか頭に入らなくて。
あんなに死に怯える志音を見て、急に志音がこの世から居なくなる気がして、とてつもない恐怖が俺を襲った。

