車が玄関で勢いよく止まる。
「ゼェ、ゼェ…」もう、息ができない。吸っても吸っても、息が出ていってしまう。もぅ、ダメかと意識を無くそうになった時、俺の右側のドアが開いた。
「太陽君、苦しかったね。もう、大丈夫だからね。こっちの車椅子に移れるかな?」と、亮先生が車椅子を差し出す。
「亮…先生…ゼェ」俺はそれだけ言いすばやく、車椅子に移った。
俺が移ったと同時に亮先生が、「じゃあ、今から診察室に行くなあ。」と、ニッコリ笑顔で言い、車椅子を押し始めた。


その光景を、秀兄は静かに見つめていた。