君を想えば

康介が気付いて、

教室へと向かってきた。



今日まで連絡取れなかったこととか、

いっぱいいっぱい嫌な思いしたけど、

やっぱり康介に会えたことが、

すっごく嬉しくて涙が溢れた。



「…良かったな。

じゃ、行くわ。」

勝也が教室を後にした。

「勝也!!」

私は勝也を引き止め、

「ありがとう。」

と素直な気持ちを伝えた。


何も言わずに去って行く勝也の後姿が、

一瞬フッと寂しそうな影を落とした。

「………。」




その直後だった。




ーガラガラ…ー





「康介…。」


「よぉ。」


「よぉ…じゃないよ。」


「だな。」




康介が近づいてくる。

康介の香りが、

近づいてくる。。。



「花火見るぞ。」

「…うん。」



何も言わない康介。

この一週間、

どこで何をしてたのか。

それでも今は良かった。

康介は、

約束を守ってくれたから。



「お前の言う通り、

花火すげーな。」

「初めの方は一緒に見れなかったけどね…。」

「来年は必ず初めから一緒に見るって。」

「来年…?」




一瞬にして未来が明るくなったような気がした。

来年も一緒に居れる。

来年も再来年度もそのまた先も…。




私が花火を見上げながらニコニコしていると、

いきなり康介が抱き締めてきた。



そして耳元で、



「ごめんな…。」



と小さく呟いた。





ダメだ…。

やっぱり泣けてくるよ康介。