君を想えば

私達が毎年見てきた花火。

今年も隣には勝也がいた。


「南ちゃんはいいの?」

「トイレ行くとか行って逃げてきた。」

「逃げるって…。

もう行きなよ勝也。

南ちゃんは勝也と花火見たがってるよ。」

「ハルを1人にしたくねーし。」



勝也の気持ちはすごく嬉しかった。

いつでも勝也は私の味方で居てくれる。



「なんか私って惨めだよね。」

「そっか?」

「結局好きな人と花火見ること出来てないし。」

「………惨めだなぁ。」

「だよね〜。」

「………あっ、ハル!!」



突然勝也が声を上げた。

指差す方を見ると、

そこには康介がいた。

「えっ…。」

私を探しているのか、

ウロチョロしている。



「康介っっっっ!!!」

形振り構わず叫んでた。

何度も何度も、

叫んでた。

他の生徒から変な目で見られても構わない。

私は、

私はここに居るんだよ康介!

涙が止まらない。