君を想えば

楽しい時間はあっという間に過ぎ、

空は夕日でオレンジ色に染まっていた。



これからグラウンドでキャンプファイアーがあり、

みんなで火を囲んでダンスがある。

そして最後に楽しみにしていた花火がある。



「私ちょっと教室戻るね!」




教室からでもグラウンドを眺めることが出来た。

先生方はキャンプファイアー作りにバタバタと忙しそう。

美夜子も他の友達と楽しそうにしている。

あ…、

勝也のクラスはみんなバラバラなことしてる。

でも南ちゃんは勝也のそばに居る。




ここからだったら、

グラウンド全てが見渡せる。

康介が来たら、

すぐに分かる。

だから私は教室に戻ってきたのだ。





花火が始まるまで、

少しの間うたた寝をした。

グラウンドから聞こえるみんなの声が、

どんどん小さくなっていく…。








ードーン…!!ー




大きなその音で目が覚めた。

いつの間にか本格的に眠ってしまったんだ。




「…あっ…。」


空にはいくつもの花火が上がっていた。

私が見たかった花火。

こんなに近くで見るのは初めてだ。



「綺麗……。」




隣りには康介が居ない。

グラウンドを見渡しても、

康介を探すことは出来なかった。