pll…plll…

一階から聞こえる電話の音…

今日で5回目になる。


「…しつこいなぁ…」

今日の私の一言目は
この言葉だった。


平日の昼間だというのに、私は学生としての仕事をさぼって家にいた。


pll…plll…


まだ鳴っている。

いい加減あきらめればいいのに…

何度電話したって私は
出ない。

というよりも、
出たくない。


plll…ガチャッ


……私は出なかったけど

「はい、もしもし菊池です。」


お母さんが出てしまった。


「あ、はい。澤田先生ですか?すいません…
はい、はい…。」


このやり取りも今日で5回目になる。


「…はい。はい、はい…そうですね…」


お母さんの声は少し、
困ったような声だった。

「…はい…。本当に申し訳ありません…。
いえ、私たち親に責任が……」


…また、謝っている。

お母さんのせいなんてこれっぽっちも思わない。
だからお母さんが謝っている所を聞いていると、なんだかイライラした。

でも、それは私が学校に行かないからお母さんは先生に謝っているのだ。

結局、私のせいでお母さんは無駄に謝っていた。

お母さんには無駄に謝ってほしくないけど、
今は学校に行く気になれない。


「矛盾してるかな…」


そう、つぶやいて、
私はノートパソコンを開いた。