どうして…。
そう思った途端、あたしは教室を飛び出し階段を駆け下りていた。
2階まで降りると、すぐ下の階に友達と歩く大概くんの姿が見えた。
「大概くんっ!!」
思わずそう叫んでいた。
あたしのその声に振り返った彼の表情は少し驚いたようだったが、すぐにいつもの優しい笑顔となり、あたしを見て微笑みかけてくれた。
不意打ちの笑顔にドキッとし、何を言おうとしたのかを忘れ頭が真っ白になった。
「あ…あのっ、あの…そ…の…、え…っと、」
あたしのあまりの焦りように、大概くんと一緒にいた友達がクスクスと笑い出した。
「じゃあ陸、先にいってるから!」
「ああ。」
大概くんの事を呼び止めたはいいが、まるで言葉を忘れたかのように何も出てこなかった。

