またこの時間がやってきた。
あの試合以来、大概くんを見るのは久しぶり。
あたしの中では、落ち込んだ彼の姿が頭から離れずにいた。
あの笑顔を再び見たい。
そんな考えの中、階段を駆け登る女子とは全く違い、重みのある足音と、鼓動を早めてしまうあの声が聞こえてきた。
そんな些細な音にさえ、この時間だけは敏感になっていた。
来た。
それを合図のように、あたしは席を立ち大概くんがいつも教室の後ろから入って来るのを知っていたので、わざと前から出た。
今日もすれ違いだが、この前の試合を思い出してしまうと、笑わない彼の顔を見るくらいなら顔を会わせない方がましに思えた。

