あたしはやはりどうすることも出来ず、大概くんのユニフォームの上にハンカチを置き、その場を去った。
小刻みに震えていた大概くんの肩からは、悔しさが伝わってきた。
スタンド席に戻ると、ユウちゃんが心配そうに一人で待っていてくれた。
「…ユウちゃん、いきなりごめんね…。」
あたしのその言葉に、ユウちゃんは視線を上げ遠くを見た。
「いい試合だったね!アズが大概に夢中になるの、なんか分かるよ。アイツかっこよかったもん。」
ユウちゃんはそう言うと、あたしがどこに行っていたのかも聞かず、席を立ち階段をスタスタ降りて行った。
下まで降りたユウちゃんは、振り返りながらあたしに向かって話した。
「アズ!!
アズの気持ち、今すぐじゃなくていいから、いつか大概にちゃんと伝えよう!
アズの真剣な想い、伝えないと勿体無いよ!」
誰よりも心強いユウちゃんの応援に背中がおされた。
告白なんて考えてもいなかったが、親友の励ましに答えたい。
「うん。」
あたしも階段を駆け降り、ユウちゃんの後を追いかけた。
「必ず伝える。約束するよ。」
あたしはそう誓った。

