バス停に着いて、7台目のバスが到着すると、大概くんはやっとあたしの手を引きバスへと乗った。
平日の日中とあって、バスの中はガラリと空いていたが、2人掛けの狭い席がやけに居心地良く感じた。
窓の外の景色は街並みから外れ、やがてブルーに輝いた。
大概くんの向かった先は海だった。
バスを降りると、初夏の海には爽やかな風が吹き、目の前には砂浜と水平線が広がっていた。
「気持ちいい~!!」
久しぶりに見る海にあたしはすっかり興奮し、砂浜をはしゃぎながら走りまわった。
大概くんは、あたしのその様子を遠目で見ながら微笑み、堤防に腰を下ろした。

