「柊子の年で子供が出来て喜ぶなんて、なかなかいないわよ」

お姉ちゃんは淡々と話す。

「・・・うん」

そんなものなのかな。

凄く好きな人との子供だったら、いつでも喜べるものだって思ってた。

だけど、現実はこんなに苦しい。

「柊子はこれからなのよ。学校に行って社会にでて、いろいろなことを学ぶ。学校では教えてもらえないことが沢山あるから。それを学んでからでも遅くない」

紅茶を飲みながらお姉ちゃんは微笑んだ。

「でも、秋仁はもう色々学んだからね」

ニヤリと笑う。

「・・・なんだよ」

「今、出来てても喜んだでしょ?」

お姉ちゃんの言葉に驚きながら秋仁さんを見ると。

「まぁな。俺はいつでも柊子を受け入れる準備は出来てるから」

え?

「あ~あ、この分じゃ私より先に柊子がお嫁に行くのが目に見えてるわ」

ちょっとふざけながらお姉ちゃんは笑った。

「夏穂も彼氏つくりゃいいじゃねーか」

「簡単に言わないでよね」

「簡単だろ?」

「秋仁と一緒にしないでよ。簡単じゃないわよ。これだから顔だけいい奴は嫌なのよ」

「顔だけ言うな」

「あら?あと何がいいところな訳?」

「・・・色々あるんだよ」

「色々・・・ねぇ」

・・・あの・・・私置いてけぼり・・・。

あんぐりと口を開けて2人の会話を聞いていたんだと思う。

「柊子・・・顔がアホになってるわよ」

お姉ちゃんに突っ込まれて慌てて口を閉じた。


「ま、問題は解決したし、帰るわ」

お姉ちゃんが鞄をもってゆっくりと立ち上がった。

「じゃ、・・・わた・・・」

私も・・・と言いかけて、秋仁さんが腕を掴んでいることに気がつく。