「柊子、私ね・・・・子供を中絶したことがあるの」
・・・・・え?
衝撃的な告白だった。
お姉ちゃんが・・・・中絶?
「・・・うそ・・・」
固まったまま動けない。
「ホント。今の柊子と同じ年にね」
・・・・え!?
私と同じ年!?
ってことは・・・高校生の時?
・・・・え?
じゃ、相手って・・・・。
お姉ちゃんを見つめると、少し寂しそうに微笑んでお地蔵様を見上げた。
「相手って・・・・」
「・・・雷太よ」
ライ君!?
「どうして・・・・中・・・」
『中絶なんて』
最後まで言葉にすることが出来なくて、俯いてしまう。
「雷太には・・・言わなかったのよ・・・・」
え!?
言わなかった?
「な・・・」
なんで?
「今も知らないと思う・・・秋仁が言わない限り」
え!??
どうして秋仁さん・・・?
「車に戻ろっか。ゆっくり話もしたいし」
「・・・・うん」
戻るときに、私もお地蔵様に手を合わせていた。
頭も心も真っ白で、何を祈ればいいのか分からなかったから、形だけになってしまったけれど。