「何か考え事?」
私を覗くように矢崎さんが聞く。
「えっ・・・ううん。・・・別に・・・」
「そ?」
・・だからね?
その顔反則だから。
何回も・・・思うようだけど。
思うだけで言えないんだけど・・・。
ポンポン。と頭を撫でてくれてから
「あんまり、緊張すんな」
矢崎さんはコーラを飲んでた。
「・・・うん」
やっぱり、顔にでてるのかな。
「何で言わなかった?」
「え?」
「お袋さんが出かけていないこと」
「あ・・・メールが来たのが突然だったから・・・」
「メール・・・って、柊子が「あ」って言ったときのメール?」
「あ、うん・・そう・・」
「・・はぁ・・そのときに言えばいいのに・・・」
「あ、でも、迷惑かけちゃうと思って・・・」
「迷惑かければいいだろ?」
「え?」
「前にも言ったけど、我慢しすぎなんだって。それで突然どっか〜ん!って爆発するし」
チラッと流し目で私を見る。
「うっ・・・なんか言うタイミングがわからなくて・・・」
「は?何を?」
「我侭言うタイミングとか・・・色々聞くタイミングとか・・・何を聞いてもいいのか・・とか」
「・・・ほぉ」
何?ほぉって・・・。
「そこからなのか・・・」
「え?何?」
「いや、なるほどって思ってな」
「ん?」
「聞きたいときに聞きたい事を聞けばいい。答えられるものは答えるし、そうでないものには・・・それなりに答えるし」
優しい笑顔で言ってくれる・・・けど。
やっぱり・・・聞けないよ~。
『どんな下着が好きですか?』
とか。
あとは・・・
『紗江さんとは、どんな関係だった?』
・・・なんて。
だって、普通に考えたら・・・『友達だよ』って答えるに決まってるもん。
・・・あ~!もやもやする~。